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宗教

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宗教 多川俊映先生 篠原ともえ
宗教 多川俊映先生 篠原ともえ
篠原ともえさん 篠原
本日の運慶学園は、運慶と深く関わりのあった「宗教」について興福寺の多川貫首にいろいろと学ばせていただきたいと思います。
多川さん、よろしくお願いします。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
よろしくお願いします。
篠原ともえさん 篠原
まず、興福寺と運慶のつながりについて伺わせてください。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
運慶の前にね、お父様の康慶という方がいらっしゃって、後に「慶派」といわれるようになった仏師集団をつくったわけです。
奈良の興福寺の近辺に工房を構えて、新しい造仏の仕事がないときには古仏の修理もしていたのですね。
篠原ともえさん 篠原
修理もしたんですね!
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
そうです。
修理するということは、天平なら天平、平安なら平安の古仏をまるごと学ぶということでしょ。だから、単なる修理だけではないのです。
篠原ともえさん 篠原
修理が学びになっていたんですね。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
そう。そこで実力を蓄えていたわけです。
そんな頃に、平重衡による南都焼き打ちがあって、奈良の古仏が焼けてしまった。そこで、再建のための仕事がどっときたわけです。
篠原ともえさん 篠原
修復の仕事と同時に、再建も担っていた。それも大変な作業だったんですね。
仏像を修復、またはつくることによって、宗教観も同時に学んでいたということなんでしょうか。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
うん。それはだけど、単なる彫刻家じゃないでしょう。
篠原ともえさん 篠原
仏師ですもんね。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
昔の仏師というのは、「仏教世界」の住人です。
ですから、単なる彫刻家、アーティストではないはずですよね。
篠原ともえさん 篠原
信仰があって完成するということですよね。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
運慶が発願して法華経8巻を書写した「運慶願経」というものがあるんですけれど、これは実際に自分で書くのではなく、知り合いのお坊さん2人に書いてもらったわけですが、1行書くごとに、運慶や、その写経に結縁している人がみな3回礼拝するんです。
1行書くと、また礼拝する。それはもう、仏教の世界の人でないとできないでしょう。
篠原ともえさん 篠原
えぇ!
ちなみに、仏師の世界に入りたいと、多川さんに相談に来た方って、これまでにいらっしゃるんですか?
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
それはないです(笑)
私にも若いお坊さんの弟子が4人ほどいますけどね、残念ながら仏師志願の人ではないです。
篠原ともえさん 篠原
次に、僧侶としての仏師運慶についてお聞かせください。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
仏師はみんなお坊さんなんです。
お坊さんでありながら、仏像もつくる。昔の仏師はみんな得度して、お坊さんになっているんです。
今の感覚でいうとね、仏師=彫刻家という意識があるでしょ。そういう目で見ると、運慶や快慶という仏師の存在を見誤ることになる。そこはちょっと、注意しなくちゃいけない。
篠原ともえさん 篠原
なるほど。
信仰が美しい仏様に宿ることで、たくさんの方が手をあわせる気持ちになるんですね。
不思議な気持ちになるんです、運慶の仏様を見ていると。多川さんから見たときに、運慶仏の力強さ、良さというのはどういうポイントだと思いますか。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
たとえば、興福寺では毎月5日に、北円堂で月例の法要をするんです。つまり、運慶がおつくりになった、弥勒様、無著・世親菩薩の前で勤行するわけです。
堂のなかは仏様の世界ですよ。そこに入ったとたん、日常から、非日常の世界に入るわけです。そういうものを彼らはつくったんです。
篠原ともえさん 篠原
信仰の気持ちを高まらせる、そういう空間をつくりあげたということですね。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
そうそう。
それから、仏像というのは、一体だけじゃないでしょ。ご本尊がいて、脇侍がいて、四天王がいて。その全体が仏教の世界なんですね。
だから、ひとつひとつを鑑賞するのもいいですけれど、全体が非日常の宗教空間になっている。そこに飛び込んで、日常の垢だとか、そういったものを全部洗い流すわけですね。
篠原ともえさん 篠原
全体を感じることが大事なんですね!
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
そう。それだけのことをおそらく考えて、運慶は仏様をつくったわけですよね。
先日、運慶願経をじっくり見たんです。本文を見ますとね、訓点が施してあるんです。つまり、単に法華経を写経したんじゃなくて、ちゃんと読んでるんですよ。
篠原ともえさん 篠原
写しただけじゃないと。
興福寺貫首 多川俊映さん 多川
書いた人は別のお坊さんなんですよ。その方の名前もわかっているんですけど、それはともかくとして、お経の本文に全部読み方が書いています。つまり、読んでいるんです。
そういうところも、運慶彫刻を見るときにちゃんと押さえないといけないですね。
篠原ともえさん 篠原
厚い信仰のなかで生まれた仏像たちなんだということを感じていたいですね。
教壇

Our Classes運慶学園の授業

美術

全3回

みうらじゅん先生

サムネみうら

すごいぞ、運慶

『見仏記』でおなじみのみうらじゅんさんが縦横無尽に運慶について語る美術講座。

歴史

浅見 龍介先生

和田 彩花さん

サムネ 和田

鎌倉彫刻史と運慶

学園生徒・和田彩花さんが東京国立博物館研究員の浅見龍介氏に話を聞きます。

宗教

興福寺貫首

篠原 ともえさん

サムネ 篠原 貫首

僧侶・運慶

学園生徒・篠原ともえさんが多川俊映興福寺貫首に話を聞きます。

体育

石井 直方先生

サムネ 石井

天燈鬼・龍燈鬼の筋肉を科学する

運動生理学が専門の石井直方先生が、天燈鬼・龍燈鬼立像の筋肉について解説します。

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