龍燈鬼・天燈鬼とは、四天王に踏みつけられる邪鬼を独立させ、仏前を照らす役目を与えられた鬼です。
奈良・興福寺所蔵の龍燈鬼像は、上半身に巻きついた龍の尻尾を右手につかみ、頭上に乗せた燈籠を上目づかいににらみます。
げじげじ眉毛を切り抜いた銅板で作り、牙は水晶製。建保3年(1215)に、運慶の息子である康弁が造ったといわれます。
その筋肉表現は鍛え上げた人物を見ながら彫ったと思えるほど写実的で、康弁の父・運慶の監督が行き届いているとみられます。
天燈鬼像は、2本の角と3つの目を持ち、口を大きく開き、やや横目で前方をにらみ、肩に乗せた燈籠を左手で支えます。
*運慶一門の作と考えられますが、作者は不明
阿と吽、赤と青、動と静とが対比的に表現された鬼彫刻の傑作です。
公式キャラクター誕生秘話
仏前を照らすお役目に日々励む龍燈鬼像と天燈鬼像。
ある日、興福寺のお坊さんたちのうわさ話で
「運慶」展が今年、東京で開催されることを知りました。
自分たちもなにか力になりたいと考えますが、とてもお役目を放り出すわけにはいきません。
そのとき、境内を自由に闊歩する一匹の猫を見かけました。
猫は守猫と呼ばれ、伽藍ではちょっとした人気者。
…そうだ!!!
何かお手伝いをしたい…ふたりの強い念が、守猫の身体に宿りました。
龍燈鬼・天燈鬼は、猫耳と尻尾、ふぁさっと艶やかな毛並みが自慢の猫の姿となったのです。
公式キャラクターとなったふたりは、運慶学園の生徒として、 秋の「運慶」展でたくさんの人たちと会えるように、めいっぱい盛り上げます。
本展の開催にあたって、絵描きの石黒亜矢子さんに龍燈鬼・天燈鬼をイラスト化してもらいました。
石黒亜矢子さんコメント
このたび運慶展の公式キャラクターとして、龍燈鬼・天燈鬼を描かせていただきました。
もともと仏像は大好きでして、自分の絵も仏像からの影響を受けております。20代の頃にはよく京都奈良を訪れ、仏像を見るために御朱印を集めつつ、せっせとお寺巡りをしていたのを懐かしく思い出します。ですから今回このかわいらしい像を描くことは本当に光栄で、嬉しく楽しいお仕事でした。
私は絵を描く上で、対象をその通りには描くのではなく、化けさせたり性格設定をしてしまいます。
この龍燈鬼と天燈鬼を描いていて、龍燈鬼には「のんびり。おっとり」、天燈鬼は「ヤンチャ。活発」というイメージが浮かびました。
どうぞ皆様、かわいがってやってくださいませ。
石黒亜矢子さんプロフィール
絵描き。著書に『石黒亜矢子作品集』(玄光社)、『ばけねこぞろぞろ』(あかね書房)、『えとえとがっせん』(WAVE出版)などがある。また、『現代版 絵本御伽草子付喪神』町田康著(講談社)など、装画、挿絵も多数手がける。
龍燈鬼はTwitterを、天燈鬼はFacebookを担当してます。
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